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「マゴを求めて」 [狩猟・動物]


(ラブラドールとのハーフの「マゴ」は山も好きだが、人も好き?)

 先日、「マゴ」(犬)が失踪した。
間もなく1歳になるところだった。ようやく「本能」と「我」が出てきたようで、人になつくばかりでなく、獣の匂いに敏感に反応するようになり、気配を強く感じた時にはそれこそ猪突猛進に山に突き進み、ちょっと呼んだくらいでは無視して山に消えてしまう。
「さあいよいよ面白くなってきたな・・・」、そう思っていた矢先だった。

 1泊旅行くらいならば「田舎の犬」の場合はよくある話で、獣を深追いした挙句に山を越えて山向こうの集落に出てしまい、なんとなくよその家の優しいお方に誘われて軒先でお世話になっちゃった、なんて事もあるので、まずは考えられる方面に捜索にいったのだけど、発見できず。2日目も同様に考えられる方々をさらに広く見てまわったが消息なし。3日目になっていよいよヤバイな~ということに・・・。

 いよいよ本腰になり、山に張り巡らせられている鹿防除ネットなどの網に絡まっていないかと近辺の集落周りは見てまわったり、あるいは車に轢かれている可能性もあると、道際の土手を見て周ったり、さらには近所の人たちから目撃情報を聞きまわり、4日目にはいよいよ迷子犬チラシまで作って配ってまわって・・・。

 犬にも色々と個性があるもので、長年飼っているとだんだんとその犬の癖がわかってくるから、
「あの犬の事だからきっとこうだろう」という風に、だいたいの行動パターンが読めて、ありうる可能性を絞り込みやすくなるのだけど、マゴの場合はようやく1歳に近づきようやく個性が見えてきて、癖も何もこれからというところなので、正直な所行動が読み切れないところがあった。
 ただ、基本的に人懐っこい犬なので、山の中でずっと理由無く滞在している事はあり得ないだろうとは思えた。もし山の中だった場合なら、獣と格闘するなどして大怪我をしているか、もしくはネットなどに引っかかってると言う事が考えられる。ネットにかかったときに冷静に暴れずに呼び鳴きをしてくれる犬だといいのだけど、必死に暴れてしまう犬だとたちまち締まってしまい致命傷になってしまう。首が絞まってしまえば鳴き声に気付く間もなく「あの世行き」だ。まだ「マゴ」という犬がどっちの性格かが分からないので悪い方の可能性も否定できない。
 また、すでに人里に下りてきているとすれば、車に轢かれたか、知らない人に寄っていって「犬さらい」にあったかと言う事になるのだが・・・・。

 そうして当ての無いままの失踪後5日目の夕暮れ時、隣の集落のある家族が八が峰に山歩きに行ってきたら遠くの方から犬の声が聞こえると教えてくれた。声を聞いたという場所を詳しく教えてもらうと、なるほどそこから民家にいる犬の声はまず聞こえない奥山だし、獣を深追いすると田歌からでも十分行く可能性のある場所でも有るしこれはひょっとしたらひょっとするぞ・・・。
 一旦は夜は厳しいので翌日の早朝に探しにいこうと考えたが、日にちも経っている状況から考えて衰弱してもいるだろうし、明日も頑張って呼び鳴きをしてくれる保証はないし・・・、
「こりゃ今すぐ行っとかなあかんやろ」
そう思いたち、真っ暗の中、スタッフの原田くんを誘って共に装備をして、山中へ入る。

 まずは声を聞いたという場所へ向かって登山道をたどり、その辺りに来てから耳を澄ましてみると、なるほどたしかに遠くから犬の声が聞こえる。
 さあ、捜索本番だ。声を頼りに道無き斜面を進み、時おり立ち止まり耳を澄ませつつ、こちらからも呼びかけつつ進む。声のするほうへ向かっているはずなのに斜面を下ると間もなく声が聞こえなくなる。また登りなおし隣の尾根へ。
 そんなことを何度も繰り返しながら約2時間半、かなり広範囲に探ったにもかかわらずなかなか近づかない声に相当な距離感を感じた。そうして頭(記憶)にある周辺の山の地形にも思いをめぐらせて、ようやくどうも田歌の北側の尾根の奥、ほぼ頂上近くにいるのではないかということを突き止めることができた。そこならば、集落からはきっと声が届かないし、また今の場所からなかなか声が近づかない事や、斜面では聞こえず、尾根では声が届いてくる事にもうなずけた。

 そう結論付けたものの、流石に余りにも現場には距離があるので、その日は一旦家に戻ることにした。戻ってから地図を広げ、地形を確認し、推測が正しい事を確信しつつ就寝。
 翌朝6時、田歌舎スタッフ総勢で、その推測地点に向かった。
尾根近く、昨夜より一際大きな「呼び鳴き」が聞こえる。見事、その頂上に林業用ネットに絡まって「マゴ」はいた。
  「マゴ」は無傷だった。無理して暴れることをしない辛抱強い犬だった。
そうしてスタッフの歩さんが差し出すおにぎりを一飲みにして、ネットから外してやるや否や、元気に走り回る。

「犬っちゅうもんは強いな~~。5日も飲まず食わずでまだ元気あるんなんて、人間では考えられんな。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 そうして無事、生還した「マゴ」ではあるがその後もたて続けに散歩中に失踪。一尾根越えて芦生の集落では缶詰を銜えてうろついている所をおばちゃんたちが捕獲。つい先日には福井県で現地の猟師によって捕獲。
「こりゃ逞しくてええこっちゃけど、狩猟する度に失踪されたら大変やで。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 この冬にはしっかりと共に狩猟をしなくてはならない。ただ闇雲に追い続けて遠くへ行ってしまうのではなくて、人間の前に獣を追い出して撃ってもらうのが仕事だという事を覚えてもらわなくてはならない。
そのためには何度も狩猟を繰り返し、上手く行った時には「褒めて」「褒めて」を繰り返していって・・・・。
そうして「マゴ」との狩猟のパターンが出来、そして信頼関係が出来上がっていくはずだ。
 
まあ、何はともあれ雪の季節が楽しみになってきた。


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