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「夢について」 [アウトドア]


(こいつらの夢は??まだまだこれからだな)

 とある出版社からの依頼で「夢」というテーマで文章を書くことになったのだが。 
 
 20歳の頃、僕は少年時代からの「ミュージシャンになるという夢」から卒業し、自然の中で、自給自足的な田舎暮らしで生計を立てていこうと「新しい夢」をみつけた。そうして大学卒業後、間もなく美山町での暮らしがスタートした。

 12年以上たった今、僕は自然案内やスローフードレストランのお店「田歌舎」を経営するようになった。その頃想像した夢以上のいろいろなことが出来る自分がいて、やりがいのある仕事、生きがいのある生活をしている。だから僕は、すでに今「夢の中」にいると思っている。

 そして「夢」というか「こうしたい、こうありたいと思う目標」は尽きる事は無く、一つにたどり着いたらまた次と、無尽蔵に湧き出てくる。だから僕はきっと健康でさえあれば死ぬ間際まで「何かの夢」に向かって生きていくことが出来るだろう。全ての夢が達成される事はないとは分かっている。だからこそ死ぬ間際まで、夢を持てる訳だから、それが幸せな事だと思うし、そのようにずっと希望とやりがいを持って出来るだけ元気に長く、楽しく生きる事が出来たらいいなと思う。

 そして自分自身が幸せでいるためには、周りの人も幸せでないといけない。
自分ひとりだけの幸せなんてありえないわけで、周りの人たちと、共に働き、酒を飲み、笑い、励まし、励まされ・・・。出来るだけ周りにいる人たちも幸せであってほしい。それで自分ももっともっと幸せに生きる事が出来るのだから。

 だけど僕はきっとそんなにいい奴じゃないな、と思うこともある。
今、やりがいのある仕事で、確かにうまくいっているのだけど、最近ではとても忙しくて、心の中のゆとりが無い事も多くなってきた。一番側にいる家族にそのとばっちりがいってしまって、荒い言葉を投げつけてしまったりして申し訳ないなと思うことも多い。幸せな家族があって、その上で仲間たちや近所の人たちと一緒に笑えて・・・・。そういう夢をかなえようと頑張ってきたのだから、もっともっと優しくなれないと。もっともっと強い、大らかな心を持てたらいいのにな。


(こいつらも夢を見ている)

 世の中に対する夢。
「今は悪化する一方の地球・自然環境だけど、僕らの時代が一番悪い時代で、これからはかつての豊かな自然に向かって良くなっていくんだという希望と確信をもてるような時代が生きている内にやってきてくれる事。」

 自然を豊かにすることは決して自分だけでは出来ない。
むしろ、僕らの日常生活は悪くする方に加担しているようなものだ。
だからこそみんなで自然を守り、もっと豊かだったかつての姿へ少しでも戻せるように努力しようと思えるような、そんな価値観を共有できる社会になっていくことが大切で、そのことに対して一生涯を掛けて微力ながらも力を発揮できたらいいなと思う。

 そのために僕が出来る事。
素敵な自然体験をたくさんの人に体験してもらう事。
そうしてその人たちの心のほんのわずかでいいから何かの変化を、そして楽しくていい事をする勇気を与える事ができたらいいな。
自給自足的な僕たちの暮らしを多くの人に知ってもらうこと。
こんな暮らしで、生計を立てている人がいるのか知ってもらえれば、こういった暮らしを夢見る人たちに少しでも勇気を与える事が出来る。そして同じような暮らしをする仲間が1人でも増えてくれればいいな。
そう、そして日本中の仲間作り。
近い想いの人たちはいろんなところで頑張っている。そんな仲間たちと知り合うことで1人きりでは出来ない力を生み出す事が出来るから。

 1人ではほんのわずかな事だけしか出来ない。
でも、そのわずかな事がとても重要なことは決して忘れてはならない。
そのわずかな頑張りは思った以上に多くの人たちが見ているものだ。
そして、その「わずかな頑張り」に気付いてくれる人たちとはたいてい良い仲間になることが出来る。
そしてその人たちの存在が自分自身の励ましになり、もっと頑張る勇気を与えてくれるのだから。

 僕は現場で夢を見ている。
仲間達をつなぎ合わせてそれを大きな力に変えて社会に発信・発揮させていく事は、僕でない「他の人の夢」だと思っている。
「他の人の夢の中の大切な1人」になることが、僕の「夢の続き」にあるような気がする。
きっと人それぞれに役割りがあって、その役割りはやっぱり自分自身が楽しいと思えることであるはずで、僕の場合は田舎の生活のなかで出来ることを実践する事が僕の喜びであり、そして役割りでもあり、また夢でもある。
そして僕の夢と他の多くの人たちとの夢が重なり合ってこそ、全ての生き物が豊かで、意味のない争いが無い世の中、そんなまさに夢のような世の中に、ほんの少しは近づけるのではないだろうか。

 そんな人類の夢のほんのわずかな「+1」になれたなら、また自分自身でそう思えるように生きられたらなら、それで十分だと思っている。


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