SSブログ

「ガイドはささやかな啓蒙活動である」 [アウトドア]


(美山川アドベンチャーツアーでの一コマ)
 ようやく田歌舎のツアーにもたくさんのお客様が来てくれるようになり、この夏は忙しい日々を送ることが出来た。
本当にありがたいことだし、ようやく経営の見通しが立ってきて嬉しい限りである。

 アウトドアのガイドは、まず何よりも非日常を楽しみに来る参加者達に十二分に楽しんでもらう事に尽きる。
「その前提を達成した上であとどれくらいの「何か」を持って帰ってもらうことが出来るのか」
それが、僕の考える永遠のテーマであり、それはきっと尽きる事の無い課題でもあり、だからこそ人生をかけてこの仕事に取り組む事が出来る。
そのフィールドが出来る限り人の手が加わらない自然であり、また使われる道具が動力などを使わないよりシンプルなものであるならば、それだけでまず人の手の加わらない自然自体が持つ楽しさを知ってもらうことが出来る。
そしてその先にその大切さを感じてもらう事がきっと出来るだろう。
そうして、一つ目の扉を開けることが出来る人たちには、人の営みによって起こっている温暖化や酸性雨、またそれに伴う気候の変動といったことが、実はたった今楽しんでいるフィールドにも大いに影響を与えていて、かつてのすばらしさを失いつつあるんだよ、という事を伝える事が出来るかもしれない。
そうして2つ目の扉を開けることが出来たなら、自分達の住む場所も、周辺に大きな影響を与えている場所でもあり、また、周辺からは生命を支える水や空気といった自然からの恩恵や、あるときは中国大陸からやってくる増え続ける黄砂のように、嬉しくない影響も与えられていて、その悪い方の影響は恐ろしい勢いで増し続けている事に気付いてもらえるかもしれない。

 山村で日々自然と向き合って暮らしていると、旧暦に細かく時節があるように季節は2週間単位、いや1週間単位でみても確実に推移している事が感じられる。農業をしているとなおさらだ。その小刻みな気候のサイクルの中で種まきや、定植などの適期を見定めようとしているのだから。そうして私たちは今、その小刻みなサイクルはいまや本来のパターンを失っている事に気付く。ドン臭い「人間」という種が気付くぐらいだから、自然な中の木々たちが、その狂いに戸惑い、本来の力強さを失ってきていて、現実にはナラ枯れ病を筆頭に多くの樹種で絶滅が危惧されるレベルの病死が蔓延しており、もしその勢いが続くならば20年先の森の惨状は想像をはるかに超えるのかもしれない。そうした急激な自然の変動は、渇水、洪水、食糧難などといった形で山村だけではなくそのときの都会を襲ってくる事だろう。

 自然と向き合って生活していると気づく事が出来るたくさんの自然からの「SOS信号」はこのサイズの文章で書きつくすことが出来る量ではとても無い。都会の中ではそういった自然からのサインをほとんど受ける事が出来ない。それはとてつもなく異常な事ではあるが、仮に僕がいまだ都会暮らしをしていたならば、たまに自然に遊びに出かけていたとしても、きっとほとんどのサインに気づく事は出来ないだろう。それほど都会という空間とそこに住む人々は、自然とかけ離れてしまっている。本当に危機感を感じる。もしガイドという仕事を通じて少しずつ一歩先の扉を共に開けることが出来て、同じ思いと少しながらのそのための努力を共にすることができたならば・・・・、
 
ガイド冥利に尽きる。


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 1

aruruこと齋藤尚彦

最近田歌あうとどあ通信のホームページを見つけました。
僕も、夢と言う、
将来の自分のために、何のビジョン(夢)を描けば良いのか、
考えなおしました。
そして、僕もと、啓発されて、
「種をまく」と言う文を書きました。
これからもブログ読ませて下さい。
それから、僕に出来ることがあれば、
何なりと、メール下さい。
kfmdj636@ybb.ne.jp
by aruruこと齋藤尚彦 (2007-06-21 20:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

「たぬきめ!!」「秋の野の収穫」 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。