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「自然は誰のもの?」 [雑感・日常]

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(12月30日に2頭獲れました。年末ジャンボイノシシ 17貫(写真:生体約70キロ)と15貫)

 年末からお正月にかけて宴会続き。
いっちょ前にも中年になってきたせいで、何かしら宴会の席が多く、海の幸、山の
幸、とにかくご馳走の連続だったが、何が美味いんだか不味いんだかあまりにも続
くと訳が解らなくなってくる。正月も終わりようやく日常に戻って食べた、普通の
朝ごはんがほっとして格別に美味しかった。
 この時期の一番美味しい家庭の味はニシン漬け。丸大根と身欠きニシンをたくさ
んの麹で漬ける漬け物で、何よりのご馳走だ。ご馳走は質素なメニューに「+一品」
くらいがちょうどいいなと、そう思う。

 さてさて、昨年は「自然は誰のもの?」「正しいルールは?」というようなこと
をいろんな場面で問われたり、考えさせられることが多くあった。だから自分なり
の考えを今回は書いてみることにした。
ちょっと他人に批判的なことも書かなくてはならないのが気に入らないが・・・。


 私たち田歌舎スタッフは、たった今は毎日のように狩猟に出かけ、鹿やイノシシ
などを当たり前のように森から頂いている。春には、自分の土地以外からも山菜を
採り、夏ごろには川から魚を捕り、秋には木の実やキノコを頂いている。そうやっ
て森から恵みをずっと頂きたいから、周辺の森の状況や変化を知ろうと努力もする
し、出来るだけバランスを崩さないように、そして決して絶やさないように、傲慢
にならないように考えながら採取をしている。そして家の周辺では自分の土地も、
借りてる土地も、そして自分の土地に隣接する川原であっても五目拾い(掃除)や
雑草を引きながら山菜が育ちやすいように環境作りをすることで、出来るだけ他所
を荒らさず、自分の「飯場」だけでおおよその山菜を間に合わせるように努力をし
ている。

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(31日大晦日に朝から皮むきの大仕事。二人がかりで夕方5時過ぎまでかかった。)

 大変な草刈りの作業をしながらも、蕗の多いところは刈り残して守っているから
春には去年より少し多い目にふきのとうが顔を出すと嬉しくて、半分ほど採って後
は誰かに採られないことを祈っている。自生するミョウガだけど、それ以外の雑草
をスタッフたちと一生懸命草引きをし、大きな石などを取り除いて、やっとミョウ
ガ畑のようにきれいに生えそろう様になったから、他所を荒らしに行かなくても良
いなと喜んでいた。同じようにミツバやセリやウワバミソウなども育ちやすいよう
に手入れをしたところからたくさん生えてくるとむっちゃ嬉しくて、だけど、それ
と同時に誰かに採取されないか心配しなくてはならない。

 だから他所から来た人が我が家の近くで勝手に田んぼの畦を歩いているだけで気
になるし、川原であってもビニール袋を片手にうろうろしているだけでうっとおし
いと思う。

 他所からやってくる多くの人は、勝手に育つ森の恵みは自分たちも自由に享受で
きるものであるべきだと考える人が多い。そして森の中や川原はもちろん、田んぼ
の畦さえも出入りするのは自由だろうと考えている人もいるし、またそうあってほ
しいと考えている人は多いのではないだろうか。

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(とても脂が乗ってました。この後全身の骨を抜いて肉だけにして地元の旅館へ卸してようやく今年の業務終了!)


 田歌舎ではツアーなどを通して森の恵みを少しだけ採取をし、ランチのスープな
どに入れて試食をしてもらうことで、その喜びや美味しさに触れてもらうことを得
意にしている。そして多くの森の恵みが環境の悪化の中で安泰で無いことは必ず伝
え、自分が守っている節度についても話すようにしている。

 自然を守ることを実践する人になるためには、本気で守りたいと思う心が生まれ
なくてはならない。本気で、そして正しくそう思うためには紙や言葉の理屈だけで
はなく、採れた!美味しい!もっと食べたい!というような実体験が必要なのは言
うまでもない。

 若い世代の人たちは採取の喜びを知ってもあまり乱獲をしない。きっと漠然とで
はあるが幼少の頃より自然は守らなくてはならないという考えが浸透しているから
だろう。そして幼少より貧して育っていないので「むさぼり採る」ような貪欲さを
持合わせていなのだろう。
 だから、田歌舎では若い世代の人に採取する喜びをこれからも伝えて行こうと思
うし、その結果、新しい乱獲者ではなくて、森の恵みがある環境を心から守りたい
と思ってくれる人を増やしていけると思っている。

 都会からやってくる中高年の方々へ言いたい。
あなたたちはもう十分に森の恵みを享受してきたではないか。
そしてもう十二分に自然を痛めつけてきたではないか。
しかも育てることを忘れ去って・・・・。
 だから残り少ない森の恵みを次の世代へ繋いでいくために、これ以上乱獲をする
のは遠慮いただきたい。自然は皆の物だと言うのなら、次の世代から自然を奪い、
私たちくらいなら大丈夫と思って森の恵みをビニール袋一杯に「むさぼり採る」こ
とは絶対に間違っている。

 「あなたたちが思う以上に森も里も枯渇している。」 
 
 「あなたたちがむさぼり採る姿はもう見たくない。」

 喜びを知って、だからこそ森のことをもっと知って、その上で守りたい人たちが
増えたら。そんな仲間たちと共に今の日本の自然に適したルールというか「正しい
付き合い方」を提唱して、世の中へどんどん発信していけたらいいんじゃないかな。
 
 そんな風に思った。
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